スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

家族介護者の責任と施設の責任 ーー 保護責任者問題に思う

寝たきりの母親(82)を自宅に放置、熱中症で死なす 
養護学校教諭(45)を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕


逮捕容疑は、昨年8月1日、食事や排せつの介護が必要な実母のハツヨさん(当時82歳)を
風通しの悪い自宅に残して外出、熱中症で死なせた、としている。

松江署によると、福間容疑者は同日午前10時ごろ外出。午後4時半ごろ帰宅してハツヨさんの
異変に気付いた。約2時間後、交番に「母が亡くなっている」と電話し、直後に119番通報
していた。

という事件の概要です。

6時間程の外出中に残念ながら寝たきりの母親が亡くなったわけですが、意図的なのかそうじゃ
ないのかは不明ですが、逮捕まで発展したのなら、未必の故意があったのかもしれません。

しかし、これをシングル介護者の立場から見ると、本当に色々疑問を感じ、明日は我が身でも
おかしくない、と感じるものがあります。

亡くなった母親が、介護サービスを受けていたかどうかは分かりませんが、受けていたとしま
しょう。寝たきりなので、要介護度は5でしょう。
被疑者は職に就いていたので、昼間働いている時間、訪問サービスを受けていたと思います。
まず、ここで、自分のケースに当てはめてみたいと思います。
1)要介護者(母親)は、要介護度5で寝たきり認定を受けている。
2)介護サービスで受けているのは、週一回のデイサービスのみ。
3)医療行為があるため、訪問看護が受けれるが、ケアマネからは人手不足で派遣出来ない
  と言われている。
4)デイサービスの回数を増やすには、要介護者の体力面で問題があり、回数は増やせない。
5)半年以上前からショートステイをお願いしているが、ケアマネからは、療養型が空きが
  ないため、待ちの状態である、との話である。
6)生活支援、介助は、同居家族が居るため、サービス提供出来ない、との話である。


結果、24時間体制の家族介護になり、長時間の外出は不可能。睡眠時間も長くて3時間を
細切れに取るのが精一杯


当然、職に就ける訳も無く、収入は要介護者の年金のみになる。

シングル介護の場合、見守りもし、買い出しもし、その他外出の用事も全部一人でしなければならない。
買い出しに行ってる間に、この事件のように、母親が亡くなっていたら、自分は逮捕されるのだろうか?
超貧乏なので、我が家のエアコンは、壊れたまま。新しいのを買うのも自分の収入が無い以上難しい。
制度上、家族に介護を押し付けている以上、行政は多様な補助を用意すべきだと思うんですが、介護で
の補助があるのは、寝たきり介護老礼金の月5000円のみ。オムツの補助もない。
そんな生活レベルなので、猛暑で、寝たきりで、エアコンもない生活で、買い出し中にもし亡くなって
たら、犯罪者にされるのか?


では、施設ではどうだろう。
介護職は数人で大勢の要介護者を看ている。目が届かない場合も多い。表には出て来ないが、目を離し
た隙に転倒して、打ち所が悪くて亡くなった場合もあるだろう。目を離せば、危ない、というのは、
共通認識だったであろうから、それを怠った転倒は、未必の故意と思われても仕方ない。
大抵の場合、当事者間で解決されているか、多くは、利用者側が泣き寝入りのケースだろう。

もし、介護者(自分)が、病気加療が必要になり、通院が必要な場合、どう考えても現状では介護者の
時間は取れない。全てが「同居家族が居る場合」と規制があり、サービスを受けれない。介護者は、病
気さえも出来ない状態に制度が追い込むのです。

要介護者が、自宅で暮らしたい、という要望に沿い、在宅介護を勧める制度になってはいるが、上記の
我が自治体の制度に対するサービスの欠乏を鑑みると、あまりに介護者の権利を奪い、体力、気力を消
耗させるだけの制度ではないか?

この事件の背景は、追い込まれた精神状態/体力の限界があったかもしれない。
親が車内に子供を残して、パチンコに没頭してた、とは違うものがあると思う。

先日、介護保険の改正法が可決された。最初の頃の「24時間訪問介護」の勢いは何処へやら。
改悪の部分ばかりが目立つ内容である。それを与党野党の賛成多数で可決した。
議員の方々、一つ一つの条文が利用者と家族、施設にどう影響が出るか分かってらっしゃるのでしょう
か?

そんな前に、まず、自治体の介護レベルを相対的に評価するべきではないか?
地域格差があまりにも酷い。我が自治体は、この十年、何も進歩が無いままである。何年も前からケア
マネを通して訴えてるが、ケアマネが動かないのか、進歩の無いまま、介護者だけが命を削って介護
している。

本当に、自分が倒れた場合、誰が責任を取ってくれるんだろうか?



スポンサーサイト

次々出てくる官僚主導の医療・介護改正案

尖閣諸島問題、小沢元代表の強制起訴問題等、国民の生活が一番と言ってた政党が、国民の生活を蔑ろにしてる間に、これまた「政治主導」などと一大旋風を巻き起こした割には、全くビジョン無きまま官僚主導で政策案が進む中、更に言えば、「後期高齢者保険廃止」と先鋒を切ってた政党にも関わらず、全く逆行する改正案が飛び出てきている。
<高齢者医療>「舛添案」に回帰 官僚主導、成立も見通せず

12年度介護保険改正、利用者負担引き上げ検討

後期高齢者医療の件は、「廃止」は決定したものの、民主党内にこれといった代案もないまま官僚主導で進められ、厚労省の悲願であった形での制度に落ち着く、という目も当てられない結末になろうとしている。そもそも、この案は当時の桝添厚労大臣が、後期高齢者医療反対の声に対し、代替案として発表したものであり、民主党はこの案さえも反対していた。それから2年後の今、出てきたものがそっくりのもの、という笑っちゃうような結末なのである。

そして、介護保険の利用者負担引き上げに関しても、単純に介護保険財源の不足、利用者負担を一律上げるのは、低所得者にはこれ以上無理、という長年の議論から、簡単に予想できる徴収の仕方である。

どちらも、超高齢化社会を乗り切る上で、果たしてその答えとして正解なのであろうか?
社会保障の財源として、先の参議院選挙で首相が口にしたのは、「消費税率アップ」だったはず。税制が変われば、この2つの利用者負担増は、ひっくり返る話であるはずなんだが・・・

結局は、厚労省官僚の抵抗に先の大臣はクビになり、官僚の目指す机上の空論、自分たちの都合が良い制度作りが着々と進んでいる。

さて、「政治主導」とは、一体なんでしょうか?

法人税を下げるより、もっと社会貢献するべき!

法人税が高いから企業が海外へ逃げる、という嘘

ここ何回か、「財政と税」について書いてきた。単純に家族介護が辛いだの、こういう状況をどうにかしてくれ、だのと訴えた所で、「財源がない」と軽く一蹴される。相手も、財政まではこちらが知らないから、そう言えば楽に切り抜けれる、と思っている。ただの嘆願だけでは、もう政治も動かないし、政治家もそんなに賢くないので、こうすれば財源はできる、とこちらが導いてやらないと、本当に何も出来ない。官僚に、都合のいい情報を見せられ、レクチャーされ、その通りに動かされているだけ。政府が発表してる資料をここでも提示しているが、自分たちの都合がいいようんしか見えない工夫があちこちになされ、その中から本髄を見極めるのに苦労をさせられる。しかし、ほぼ素人の自分でもカラクリを見破れるのに、政治家やマスコミの関係者は、何故見破れないのか。更には、その虚像を国民に刷り込もうとするのか。
既得権益の確保、利益誘導としか思えない行動・報道が蔓延り、政治に信頼を寄せるより、どこが嘘なのか、国民がいつも見張らないといけない。安心して任せた相手なのに、裏切られる思いしかしないのは、何故か。今日書く内容も、経済界、特に経団連の利益誘導としか思えない内容になる。政治・財政・行政・公務員に大鉈を入れる時期はとっくに来てると思うのだが、風見鶏であちこちにいい顔してても、国民が限界に達したら、その甘汁にもありつけなくなるのに・・・

前々回、「経団連が福祉目的の消費税アップを要望」という事で記事を書いた。今後、医療・介護の分野を成長産業として、消費税アップ分を福祉目的化して、成長させるべきだ、という経団連からの要望を提出、というものだ。「日本の消費税率が低いから・・・」という内容は前回書いた通り、全くの嘘であるが、この要望書にも疑問がある、と記事に書いた。
消費税アップで福祉財源を確保し、それにより法人の法人税率、社会保障負担を下げようと目論んでいる、としか言えない。輸出項目が多い企業、そのほとんどが経団連に所属しているわけで、消費税アップは何ら企業負担にならない。また、福祉目的での財源が確保されれば、企業が負担している社会保障費の軽減更には撤廃をも目論んでいるのであろう。以下に示すような実情を読めば、経団連の強欲さがよく分かると思います。

まず、「日本の法人税率は高いから、海外へ企業が逃げる」や「外資が参入しにくい」と、ここ数年、政府・政治家から聞いた覚えがないだろうか。
財務省発表の税制大綱を参考にしていくと、法人所得課税の実効税率の国際比較の図によれば



確かにアメリカと並んで高いと言ってもいいです。ここにはないですが、アメリカ・ニューヨークは、45.59%で日本よりもっと高いんですけどね・・・フランスやイギリスは、「地方税」がないので、日本より低いわけですが、企業の負担は、「法人税」だけではなく「社会保障費負担」つまり社会保険料も加味して考えなければなりません。


社会保険料事業主負担及び法人所得課税の税収の国際比較によると


社会保険料事業主負担(対GDP比)で、フランスは15%、スウェーデンは13%、ドイツで8.7%といずれも日本の6.5%より高い。
法人税と社会保険負担を合算した場合の各国の業種別の比較を見ると



見ての通り、日本が取り分け他国より高い、と言える数値ではない事が明らかです。むしろ、「日本の法人の社会保険負担が低いんじゃないか」と感じる人の方が多いんではないでしょうか。少子化対策をしっかり行ったフランスや、高福祉の国スウェーデンなどを見ると、日本の企業はもっともっと社会貢献するべきだ、と政治が求めるくらいであっていいはずなんですが、文頭に書いたように、経団連から逆の要望を受け入れ、消費税アップ・法人税ダウンを、とレールを敷き始めているのです。
「法人税が高いから、企業が海外へ逃げる」というのは、他国との比較から見れば、嘘という事になる。もちろん、アジア諸国では、外資獲得の為、優遇処置を施している場合も多い。しかし、アジア諸国は、先進国ほどの社会保障制度は整っておらず、市場も成熟していない。そういった国と比較するのは、そもそもナンセンスだと言える。

消費税アップ分を社会保障財源にし、安定財源化されたら、法人税を下げ、社会保険負担分も消費税に置き換えて、法人として負担は異常に低くなる。更に、輸出項目が多い場合は、優遇措置があり、例えば海外の販売先から消費税が取れない場合は、国内で支払った消費税には、還付制度で戻ってくるので、消費税アップは、法人には負担が少ないのである。

こういった背景があり、消費税アップは、経団連を始めとする大企業有利の動きになっている。元々法人負担は低い上に、更にそれを削減させ自分たちの有利を推し進める強欲以外の何物でもない。税制というのは、選挙の応援のため、有利に施策するのとは、別問題の話だと思う。国民全般の負担を更に増やすより、ここ20年で大きくなった格差是正と所得再分配の意味では、「資産課税1%」や「株取引や土地売買等、非労働所得の課税率アップ」などを検討するのが本筋だと思うのだが・・・

ここ数回の記事を総括すれば、税収的な問題ではなく、その分配に問題があり、社会福祉の充実に特別会計も含めた財政構造を再構築する舵を切る時期に来ているという事だ。それが出来なければ、低所得者から国民生活は一気に崩壊して行く。一部の高所得者や公務員優遇は、50年以上続いてきたわけだし、そろそろ彼らにも痛みを分けて与える時期ではないだろうか。少子化や介護は、国民全員の問題であり、セーフティネットの再構築は、ワーキングプアやホームレス問題といった解決に繋がるのだから。




テーマ : 在宅介護
ジャンル : 福祉・ボランティア

北欧型福祉迎合と増税論

日本は「高負担・低福祉」なのに、刷り込まれる虚像

いつからだろう、「日本は中負担・中福祉国家」なんだと言われるようになったのは。
母が倒れる前、社会福祉のお世話になるより、支える側にいた時は、あまり意識はしてなかったが、「まぁ、そうなんだろう」と緩い認識をしていた。しかし、現在、介護に追われ、自分の職を失ってまで家族介護にどっぷりと追い込まれる制度と向き合った時、中以下の評定しかもらえないと思うし、個人的には、この制度は、「不合格」だ。
介護保険が10年を迎え、政権交代も起こり、現政権から出てくる今後の見通し発言には、「これ以上のサービス向上には、保険料の増額もしくは消費税アップで目的税化するしかない」という話ばかり。
政権交代前に、子供手当ての説明に「財源はある!」と言い切っていた。「無駄を徹底的に削減し、特別会計を一般財源化し、公務員改革で効率の良い財政改革に」と言ってたのが、仕分け作業はただのパフォーマンスに終わり、結果を求めない作業に終わっている。全く無駄の削減には至ってない。まぁ、そこは野党議員の突っ込み所として、今回はここで留めておこう。

社会福祉を盾に増税を目論む政・官・財の洗脳作戦でも書いた続きになる内容かもしれないが、これ以上の福祉サービス(北欧型福祉)を求めるなら、目的税化した増税しかない、と国民の意識をマスコミを含めて誘導している。
これは、「日本の消費税率は5%で、他の国と比べて税率は低い。だから福祉まで金が回らないんだ」という洗脳。他の国の消費税は、非課税項目があり、生活必需品は低税率で、しかも、最終の製品に1度だけ掛かる税です。それに比べ日本は、製造から流通・物流にまで網羅して掛かります。政府の公式発表では
一般会計歳入総額に占める租税割合によると、歳入に占める消費税の割合は22%。スウェーデン、イギリス、イタリアなど欧州諸国とほぼ同等なのです。




日本スウェーデンイギリスイタリア
消費税率5%25%17.5%20%
対歳入比22%22.1%22.3%22.3%

税率だけを取り上げ、本来の歳入バランスさえ言及しない報道の偏向と政府による国民の税負担がまだ軽いという意識付けには気をつけなければならない。むしろ、今の税率で十分消費税としての歳入に占める額は、最適で素晴らしい、と言える。経団連を含めた消費税増税論は、前出の記事でも書いたように、大企業の目論見があるとしか思えない。
では、本当に日本人は、「中負担」なのか。
社会福祉を題材にすれば、「スウェーデンの社会福祉は・・・」とすぐ口にする議員が多いので、日本人とスウェーデン人が、どちらが「高負担」なのか見るのに良い資料がある。
1998年の内閣府の経済社会総合研究所の作成した資料ですが、日本は当時とGDPも変化はあまりないので、いいでしょう。

再修正国民純負担比率
これを見れば、日本人の負担率が14.0%に対し、スウェーデンは11.9%。スウェーデンがGDP比で52%社会保障費に費やしてるのに対し、日本は27%日本は高負担低福祉国家と言っていいだろう。消費税アップは、高負担を更に上げる結果となり、格差社会を更に広げ、貧困化が更に進むだけと言える。
先日、新党が「中負担、中福祉」を目指し、消費税増税を含めた綱領を発表していたが、その中に経済の専門化の議員が含まれていたが、この状況すら理解できてないんでしょう。その議員が財務大臣を務めていたんだから、これまたびっくりだ!

内閣府が提示してる資料にはっきり書かれてるのに、政府を含め、議員、マスコミも全くこの事実を国民に知らせず、「福祉の充実には、消費税アップしかない。何故なら日本の消費税率は低すぎるからだ」という洗脳に走っている。

上記で説明したように、消費税も欧州並にあり、雇用保険・健康保険・介護保険を払い、負担率が欧州以上な日本人が何故低福祉なのか。それを議論しないで、増税論ばかり。
「スウェーデンでは・・・」という前に、まず何故低福祉な政策を続けてきたか、それをどういう形に再構築するべきなのかを財政再構築を含めて考えるべきではないでしょうか。世界でもトップの高負担な国で、福祉政策より優先されているものは一体何なのか。天下り、渡りを繰り返し、生涯賃金が3億を超える官僚をゴロゴロ作る事が、所得再分配と言えるのか。

現代の少子高齢化を克服するには、少子化対策も抜本的に必要だし、今後最も問題となる介護保険改正は、財源論無くして考えられないのだが、現在のような低福祉政策のままいくら増税しても、高負担に国民が耐えられるわけがない。スウェーデンの介護を語る前に、せめて中福祉と言える程度の財政改革をするべきだ。これ以上のサービスの充実には負担無しでは考えられないなんていうのは、全くの嘘である。

家族介護で困窮してる自分が、ここまで考えなければならない状況にも、何かおかしな感じがする。こんな事は、優秀な議員や官僚であれば、とっくに気付いてるはずなのに、自分の利益確保だけに走り、国民に負担しか求めない連中が権力を握ってるのは、納得がいかない。税金は国民の為に使われ、サービスを含めた再分配の意味がある。福祉に関し、応益負担を強いる考えそのものが、官僚的支配そのものと言えるだろう。

是非まともな議員・政党が政策を推し進めて行ってくれる事を切に願う。

テーマ : 在宅介護
ジャンル : 福祉・ボランティア

徴介護制度という愚かな考え

要介護者はモノじゃない!

僕が最初に「徴介護制」なる言葉を目にしたのは、自民、徴兵制検討を示唆という記事から。自民党は、「国民の義務」の議論として、言ってるようだが、まぁ、真意は分からない。徴兵制を敷いている国としては、ドイツや韓国が馴染みやすい国だと思うが、ドイツは、「良心的兵役拒否」として社会福祉への代役参加を許可している。例えば、「介護施設での従事」で兵役を免除できるという制度だ。その「良心的」と「介護の人手不足」とが相まって、「徴介護制」で解決できる、なんていう考えがネット上を闊歩したようだ。
全く介護というものがどういうものか分かってない人が考えそうな案だ。
ドイツでは、介護ボランティアで成功してるんだから、日本でも同様に思うであろう。そもそも、介護の対象者が、日本とドイツでは全く違う。ドイツの介護施設に入居してる人は、日本でいう「要介護2」くらいまでの、比較的元気な高齢者であり、重篤な状態の人はいないのである。日本の施設では、特養は、「要介護4、5」の人がメインであり、入居者の平均要介護は、4を超えている。老健でも4に近い平均要介護度なので、ドイツに比べると、知識がない人が介護するには到底無理なレベルなのである。

日本では、「介護」というものが、足腰の弱った高齢者の車椅子を押してあげたり、杖をついた人の介添えをしたり、話し相手になってあげる程度にしか思われていない。ドイツでは正にそのレベルの介護で済むので、子供の頃からボーイスカウトなどのボランティアが発達した国では有効な施策であろう。それに比べ、日本ではボランティアの文化は馴染みも無く、強制的に集めたとしても、機能するのかも大いに疑問である。

日本の介護が、どれだけ危険と隣り合わせか、もう少し見てみよう。
平成18年度のデータではあるが、平成18年度介護保険事故報告を見ると、世田谷区だけの事故報告だけでも、急増している。施設数の増加と従事者の増加に伴い、確実に増加傾向にある。事故内容に至っては、上位が「感染」「介護者の過失」「誤嚥」と、介護の訓練を受けた者でもこういう事故を起こしている。
この中に、何の訓練も無く「徴介護制」で人を導入したら、完全に施設は危険地帯になる。日本で求められている介護職は、十分に訓練を受け、介護の知識を持ち、医学的な見識もある程度持ち合わせた人になるのが、この事故報告からでも明らかである。更に言えば、重篤な認知症を患った要介護者に対応できるように、「認知症ケア」についても知識と技術が求められるのである。「徴介護制」で集まる誰もが出来るような内容ではないのである。
人手不足の解消と徴介護制度で最も損をするのは、要介護者当人であり、介護過誤で命に関わる問題に繋がる場合も多く、徴介護制で徴収された人やその施設で、それらの事故にどう責任を取れるのであろう。今はまだ表沙汰にはならないケースが多いが、介護過誤・事故の問題はいつ露呈してもおかしくない状態になっている。医療過誤の問題で、産婦人科医が激減したという社会問題になったように、それがいつ介護の分野に置き換わってもおかしくない状態である事も認識して欲しいものだ。

こういう背景を鑑み、それでも「徴介護制」で若者に高齢者の介護を押し付けるというならば、まずは、「厚生労働省の新人研修」でも介護施設、在宅介護事務所へ派遣してみてはどうだろう。この国の医療・介護の施策を担っていく若者に現状を理解させるにはとても良い経験になると思う。どこかの大量の何をしてるかはっきりしない新人議員の研修でも同じ事が言える。どちらも税金で所得は確保されているから、人件費も増えるわけでもない。今後、日本の医療・介護をどうしていけばいいのか、肌で感じて取れるので、実務に戻ったら良い施策を考えれるだろう。

介護職の人手不足を解消するには、介護職が魅力的で専門職であるという意識付けをしなければ、無理ではないだろうか。「徴介護制」なる発言が出ているようでは、誰でもできる簡単な仕事、という意識が蔓延っているからであろう。
現在、介護に従事している人、介護をしている家族を冒涜した安易な考えだと、はっきり申し上げておく。


テーマ : 在宅介護
ジャンル : 福祉・ボランティア

プロフィール

あのま

Author:あのま
シングル介護で12年。要介護5の母親の介護をしながら、何の補助もない社会制度に苛立ちを覚え、赤裸々な現実をここで書いてみたいと思います。

Twitter
最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
Visit Thanks
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。